税理士はベンチャー・中小企業の最強CFOになるか

TKC出版が発行している「戦略経営者」に、TKC全国会 大武会長のインタビューが載っていた。

インタビューの趣旨は「中小企業のグローバル化」。

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どんどん縮小していく日本市場に対して中小企業はグローバル化していくチャンスだという話だったのだが、その中で以下のような発言があった。

税理士は、税務署の手先でも節税コンサルタントではありません。本来は企業のCFOとして、あるいはビジネスドクターとして、経営者の右腕、しかも「イエスマンではない右腕」として機能すべきものなのです。まず、そのことを経営者の方々には気づいていただきたい。


まったくその通りだと思う。中小企業やベンチャー企業につきまとうのは、常に「資金繰り」。それを適切にコントロールして最適な答えを出すCFOがいればどんだけ楽か・・・と世の社長の誰もが一度は思う事。

会計や税務に明るいCFOなんて数は多くないし、雇うとなればコストも掛かる。

弊社は税務・会計はすべて帯広の竹川会計事務所に一任しています。いつもは担当者の方とやりとりさせていただくのですが、私はここぞと言うときには、我が経営の師、竹川先生(つまり所長)に直接相談をして、経営的なアドバイスをいただいています。

24歳で起業して全く経営の知識が無かった当時から丸7年。先生には月次決算の大切さ、管理会計の徹底、限界利益管理など、経営の基礎を徹底的にたたき込んでもらいました。そして経営判断などまともに出来なかった僕に、会社の状態(つまりは決算の内容)から会社をどうすべきかをアドバイスしてもらっていました。

そして資金繰りに関しても、もっとも参考になったのがこのアドバイス。

「雨の降る日には傘を差してくれないのが銀行だ。晴れた日に平気で傘を差してこようとする。だけど銀行は人だ。関係性を良くし続けて、会社のことをきちっと、嘘偽りなく説明し続ければ、雨の降った日にも傘をさしてくれるようになる。」

僕は銀行への説明は定期的に行っており、経営計画などは毎年説明しにお邪魔して、信頼関係の醸成に特に力を入れている。

先生のおかげで今まで資金繰りで苦しむ度に銀行に支援していただき、先生からの経営指南もあってか第7期は大きく躍進して経営基盤をより強固なものにすることが出来た。

やはりスタートアップのベンチャーや中小企業は、会社の状態を把握して最適な判断が出来る人間が側にいた方がいい。特に資金難になった場合の対処方法はプロにアドバイスもらえると解決しやすい。特にベンチャーは資金管理が甘くなりがち。どのように管理すべきか、そしてどのタイミングで資金調達すべきか。

そのためにはもっとも経営に近い税理士・会計士を僕のようにうまく活用するのは本当に良い手法だと思う。

んで、インタビューには続きがあって、

せっかく良い税理士と顧問契約を結んでいながら、その人の能力を十分に活用していないケースが非常に多いと思います。節税など税に関することだけを期待するのは20世紀型の税理士の使い方。税金は安くなったけど、会社は潰れた・・・ではダメなんです。


弊社は月次決算のスピードを月初第3営業日と定めてすぐに月次決算を出すように努めている。これは試算表を早く出すことで、どこがに問題があってなぜ利益が出ていないのかという理由を素早く探ることで、経営の意志決定を迅速に行えるようにしている(今期は第1営業日までに月次決算を出すことを目標にしています)

弊社では特に会計事務所との連携を強めて、この月次決算のスピード・精度向上、そして調べる項目が悪いと意味が無いので適正な経営指針をどうすべきかと言うことをアドバイスいただいている。

さらにインタビューでは、

どこが儲かっていて、何が儲かっていないか、より利益を出すためにどこをどうすればよいのか、などといった「カルテ」をきちんと作らせること。それこそが、これからの税理士活用のポイントとなります。


経営には試算表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)、つまりは会社の健康状態を表した「カルテ」が必要です。これを使わずに経営するってことは、ある一定の規模までなら社長の頭の中だけで把握できるので問題がないように思えるが、会社の規模を大きくしようとすると無駄が多くなってきて、ちょっとしたことで躓いて大きな怪我となる。これは人間の健康診断と同じ。健康診断で肝臓がかなり悪いと診断されてまでお酒を飲みますか?

会社の「健康診断」、すなわち「月次決算」を行うことは、何が原因で利益が出ていないかを追求することと同義だから、企業が利益を出すためにも非常に重要なアクション。どんぶり勘定では会社経営は難しすぎるんじゃないかな。

では、どうやって税理士を巻き込むのか。

それは簡単です。

税理士の先生がお酒が好きかどうかです。それも酒が好きで好きで仕方ないくらい好きならうまくいくでしょう。

いや、嘘つきました(笑

大切なのは税理士の先生がコミュニケーション取りやすい方かどうかじゃないかな。

私の先生は、私の志を買っていただいて会社の経営に積極的に関与していただいている。ではどんな風にアドバイスもらっているかというと、さすがに業務時間だと先生も忙しくて時間が無いので、定期的にお酒を飲みながらざっくばらんに会社に対する想いや現状の経営課題などを話をして、常に情報を提供している。

これを7年も繰り返していると会社の状況の変化を先生も理解していただけるので、状況に応じた最適な答えをいただきやすくなる。

沢山の企業の「カルテ」を見てきて多くの企業の失敗を見てきている税理士だからこそ、我々が知らないノウハウがたくさんあります。

税理士は税金を安くするためだけのものではなく、常にコミュニケーションを取って、重要な判断するときに助けてもらえる状態を作っておけば、我々ベンチャー企業にとって最強の「CFO」として活用できるんじゃないかな。

にしても「戦略経営者」は本当にいい本。他の経営者の方が苦労して経験したことをたった480円で知ることが出来るんだからね。

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