農業ITベンチャー最強の開発体制を考えてみる

最近、どんな開発体制を組めれば世界の農業IT市場で勝ち抜けるかを強く模索しています。

結論としては、最近データアナリストを採用しましたし、ゲートウェイ・センサーの開発を自社で行えるようにハードウェア開発エンジニアやHadoopエンジニアも採用しました。つまりデータを自動収集するプラットフォームと高度なアルゴリズムを自ら考え実装できる体制づくりが重要だと考えています。さらに未来を考えるとディープラーニングを取り入れた人工知能の活用を取り入れていく必要もあると思います。

TPPや農協改革と、日本の農業を取り巻く環境が大きく変わろうとしている今、これから農業の中でITが活躍するには以下の3つがキーポイントだと思っています。

  1. 自動化による労働力の最小化
  2. 誰でも同じ品質で作れる作業の標準化
  3. 未来予測による意思決定精度の向上

自動化については、すでに世界中でトラクターの自動運転や搾乳ロボットなど、労働力を軽減するための機械が出回りつつあります。日本でもその辺は進んできており、人がいなくても農業ができる時代も近づいているのではないかと思っています。しかしこの分野は機械メーカーがどんどん先に進んでいるので、我々が今更参入したところで勝ち目もないし価値も提供できません。

で、次に誰でも同じ品質で作れるようにするためには、作業自体を機械に任せてしまうことで解決するかと思いますが、作業を機械では行えない人が介在しなければならない作業というのは必ず存在しているため、その作業のマニュアル化が必要になります。自動車工場でも無人で製造を行うことは難しいのと同じです。

そのマニュアル化は「ワークフロー」のような機能や作業マニュアルの作成によって解決することができます。特にワークフロー機能はこの先何をすればいいのかがシステムに作業手順として表示され、順を追って作業をすることで進捗がシステムに保存され確認できるようになる機能です。

ところがこのような機能もSalesforceなどのクラウド製品で解決できてしまうので、我々があまり力を入れても大きな価値は提供できません。我々が特に力を入れている酪農の分野では、世界的に牛群管理システムがかなり進化しているので、その作業フローの標準化もできるような製品も多く出てきています。

 

では我々がどの分野に力をかけるべきか。

と考えたときに、3の未来予測が最もITの価値が発揮できるのではないかと考えています。

 

未来予測とは、自分の経営がどのように変化していくのか、何を行えばどのように変化するのか、仮想空間でいくつもシミュレーションをすることですぐれた経営計画(営農計画)を見つけ出し、それを実行することで大きな利益を上げるというものです。

事前に大量のシミュレーションを行うことでリスクや課題を計算し、あらかじめ対策を用意することで計画の精度を上げることができます。経営計画策定の過程ではよくシミュレーションを事前に行いますが、かなり手間がかかりますし、元のデータが足りない=信ぴょう性がないと計画自体の精度が上がらないなど、結局シミュレーションを行う人のレベル・データの信頼度で計画が大きく左右される問題があります。

農業でこれを実現するためには、農業に関わる大量のデータ、例えば天候や気温、水分量や湿度、畑への作業履歴、牛であれば繁殖や治療などの個体データ、これらを全て統合することが必要です。そしてこのデータ量が増えれば増えるほど、精度の高いシミュレーションが可能になります。そのデータから未来を推測すれば、農地の効率も上がり農家さんの所得も増やすことが可能になります。そのために我々が何をすべきかと考えると、データを自動的に集めるプラットフォームと、集めたデータから精度高い計画を算出するアルゴリズムの開発が必要です。

自然を予測する、ということは大変なことです。しかし私たちの身の回りで最も身近なもので「天気」は自然をITで予測しています。予測の方法は割愛しますが、以下のページに詳しく書かれています。つまり自然を予測することはITを活用すれば誤差はあれど可能だということです。農業の未来予測も十分可能だと思いませんか?

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予測手法と予測に伴う誤差

Farmnoteは「今は」手入力でデータを打ち込んでいただいていますが、これすらも自動的にデータ収集する、つまり農家さんがデータを打ちこまなくてもよい環境を作ることを進めています。さらにセンシングされたデータを収集してクラウドに送信するゲートウェイの開発を行っており、今年のファームノートサミットでもお話しした通り牛のセンサーも開発しています。

つまり農業ITベンチャーの最強の体制とは、データアナリストやアルゴリズム実装に習熟したエンジニアが多く、かつデータの自動収集プラットフォーム(ハード・ソフトどちらも含む)を開発できるエンジニアが多い体制じゃないかなと最近思っています。モデルを自ら構築できてアルゴリズム実装を熟知した会社でないと農業ITベンチャーは新しい価値を生み出せず太刀打ちできないんじゃないかな。と思います。

補足ですが、Farmnoteは「今は」牛に特化していますが、社内では「農業のグーグルになる」というミッションを共有しており、今後牛以外の展開も「あり得る」と考えています。

このへんの詳しい話は12月2日開催の「ファームノートサミット 2015 Winter」で発表します。このブログ記事だと難しくて伝わりづらいので、私たちが思い描いているビジョンの実現を実感しに是非会場にご来場ください!

ファームノートサミット 2015 Winter

また、農業のグーグルを目指すためにエンジニアも積極的に募集しています。 ご興味ある方は是非ご応募ください!

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